IoT振動錯覚
機械工学科3年 03-190177 大坪翔太郎
1.コンセプト
機械系少人数ゼミで振動錯覚を扱ったのでそれと組み合わせた制作物にしたいと思った。その中でも「ファントムセンセーション」という錯覚を用いて他人との接触を再現することを目指した。
「ファントムセンセーション」とは、皮膚上2点の振動刺激を与えた場合刺激が融合し2点の間の点に振動を知覚する現象である。また、2点の振動刺激の強度比によって近く位置が強度の強い方に偏ることが知られている。
この錯覚を音による振動を用い、さらにはVR映像によって視覚的にも強化することで「実際には遠くにいる相手を膝枕していて、その相手が膝の上でゴロゴロする感覚」を再現することを試みた。具体的には遠くにいる相手の挙動に応じて、膝の上に配置したモーターが振動し、またVR空間でその相手に合わせたキャラクターが同じ動きをするというものである。
2.要求機能
①動作を検出する:加速度センサで身体の傾きを検出する。
②検出した動作を送信する:AWS IoT Core経由でAmazon S3にRaspberry Piから送信する。
③検出した動作の受信する:Amazon S3に送信したデータをUnityで取得する。
④取得したデータを振動として出力する:シリアル通信でRaspberry Piから振動を音としてアンプで増幅して出力する。
⑤取得したデータに合わせてキャラクターを動かす:Unity上でキャラクターを動かし、Oculus Rift Sを用いて出力する。
3.反省
まず制作物の条件の、
①IoTといえる
②売れる(需要がある)ものである
③新規性がある
を満たすようなものを考えるのに苦戦した。アイデアが思い浮かび、自分の技能でもなんとか完成させられそうだと思っても、検索すれば似たようなものが既に製品化されている、という事態に何度も陥った。結局制作物のコンセプトが決まったのは(それまで常に考え続けていたというわけではないが)発表の一ヵ月前であった。
次に実際に制作するにあたって必要な技能、経験が自分にはほとんどなく一つ一つの機能を実装するにも時間がかかった。例えば自分は3Aセメスターではじめて制作物の根幹となるAWSやUnityといったものに触れたが、何をするにしても調べなければ方法がわからず、そもそもどのような機能があるのかすら知らなかった。
これらの理由から必要な時間は膨大な一方で実際に取りえた時間は十分ではなかった。自分の能力を加味してしっかりとスケジュール管理をするべきであった。
最後に実際に音を設計し振動を試してみると想定していたほどの感触は得られないということが発覚したが上述の理由から仕様を変更する時間はなく、中途半端な出来で終わってしまった。
発表後も音を変える、そもそもの動作を変更するなどの改良を施してはいるが満足のいくものにはなっていないので今後さらなる改良をしていきたいと思う。