ECO DRIVER(五十嵐宙之)

機械工学科3年 五十嵐宙之

こんにちは、機械工学科3年の五十嵐宙之です。今回IoT演習を履修した人は全員ホームページ用の説明資料を用意しないといけないということで、演習が終わってはや2か月が経ち記憶が薄れつつある今、必死に思い出しながら書いていこうと思います。

・何を作ったのか?

何を作ったのか、一言で言えば「車の加速度と位置情報をクラウドに記録する装置」、です。タイトルは「ECO DRIVER」としましたが、この理由は読み進めて頂ければお分かりになるかと思います。見た目は車のダッシュボードの上に乗せることを想定しているためコンパクトな長方形で、中にはArduino Yunというマイコンと、加速度センサー、GPSが内蔵されており、表面には小さい有機ELディスプレイが取り付けられているシンプルなものです。そのディスプレイには、どの方向にどれだけの加速度がかかっているのかがリアルタイムで表示され、車がある一定以上の加速度を出したことをセンサーが検知すると、その場所の位置情報がサーバーに送られて蓄積されるという機能を持っています。僕自身がかなりの車好きで、スポーツカーによく搭載されている加速度をモニタリングしてくれる機能をもとに通信機能を追加したらどうだろうかと考えたのが、今回の装置を作ったきっかけでした。

・何に使えるの?

この装置の持つ機能は前述の通りですが、これをどのように使うのか、使う目的が何なのか、それを考えなければ人が欲しがるような魅力的な物であるとは言えず、この装置の存在意義が無くなってしまいます。そこで僕はその活用方法を2つ、想定してみました。1つ目は個人ユーザー向けに、日々の運転の仕方を改善し、より「エコな」運転を促進するというものです。内蔵されている加速度センサーにより急発進、急ブレーキ、急旋回を検知し、その加速度が一定の基準を超えてしまったときにドライバーに注意をしてくれるようにすることにより、燃料消費量を抑え、無駄な排気ガスを減らす「エコドライブ」を促すことにつながります。これだけだとユーザーからするとわざわざお金を出して買うほどのものでもないような気がするので、今回は時間と僕の能力の都合上実装はしていませんが自分の運転の「エコドライブ度」が点数で表示されるようにするなど工夫するとより魅力的な物になるでしょう。さて、次に2つ目の活用方法ですが、これは1つ目の活用法をさらに応用し、ターゲットをトラック運送会社にすることを考えました。具体的にはこうです。まず、トラック運送会社の所有するトラック全車にこの装置を搭載します。これによって、トラック管理者はリアルタイムでどのトラックがどこにあるのかを把握できるようになります(これはすでに実際のトラックですでに実現されており、タクシーなども同様にして位置情報が管理されています)。そして、繰り返しになりますがこの装置には加速度センサーがついているので、先ほど1つ目の活用方法で述べたようにトラックの「急」が付く動きを監視し、それをドライバーにフィードバックすると同時に、その情報が中央のサーバーに送られ、蓄積されるようにします。これによってどのドライバーが「エコでない」運転をしているのかがすぐに分かり、そのデータは様々な用途に使うことができます(ドライバーへの処罰とか?)。また、トラック運送会社にとって燃料消費量の削減は経費削減に直結する重要事項であり、この装置で監視し、ドライバーに「エコ運転」させることが会社全体の利益につながるのではないかと考えました(とここまで考えたところで単純にもとから車に搭載されている速度計や燃費計に通信機能を付け加えるだけで事足りるのではないかと思いましたが、それでは今回のIoT演習で出来ることの範疇を超えてしまうので気にしないことにしました)。これら2つの活用方法は車に搭載するという僕の当初の想定の範囲内での活用方法(売り出し方法というべきか)ですが、なにせ装置自体の機能はシンプルなものなので、これらに限らず様々な使い方ができると考えられます。例えば、自転車に搭載して、ある一定以上の加速度を出している間は点数が加算される、というようなものなどです。

 

・後輩へのアドバイス

ここまで読んできて、え、半年近くやっててそれだけしかできないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ごもっともです。ですが、プログラミングの知識は授業でちょっとやったC言語とpythonだけ、インターネットにおけるサーバーとクライアントのやり取りについての知識はゼロ(そもそもこの用語自体演習期間中に知りました)、マイコンの使い方もわからない、さらにはこの演習を選んだ動機が「金を沢山使えるから」、というまっさらな状態から始め、ここまで来れたわけですからかなり成長したと思っています。演習期間中は必要な知識はほとんど自分で調べなければいけません。しかもメカトロ演習とは違い個人戦です。プログラムに間違いがあってちゃんと動かなかったとしても1人だとなかなか気づけないことも多々ありました。その代わり、様々な知識を得ることができたように思います。ですので、この演習は僕のようなプログラミング苦手マンにこそぜひ選んでもらいたい、そして苦しんでもらいたい。その苦しみの分、得られるものはあるはずです。また、先ほどの部分を読んでいただけるとわかると思いますが、僕は装置の機能をシンプルにし、ソフトやハードを作るのと同じ位の重きを活用方法を考えることに置いています。それは、ただインターネットを介して物同士をつなげることだけではなく、それを使ったサービスを作ることがIoTを活用するということであり、その考える練習をすることがこの演習の重要なポイントであると考えているからです。実際僕が考えたサービスは稚拙なものかもしれませんが、考えるということ自体がいい経験になることは間違いありません。ぜひ、IoT演習、選択してみてください。


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