Wearable Club(クラブ体験を身近にするデバイス)
IoT PBL報告書 37-196237 工学系研究科機械工学専攻M1 平野賢秀
背景
ディスコ・クラブといった空間には単なる音楽鑑賞以上の体験がある。本デバイスの出発点は、家庭などでの音楽体験とクラブでのそれとの差異を埋めたいという思いでした。
ダンサーとして活動する私は、常日頃から、クラブで行うショーケースなどの本番と、家やスタジオで行う練習との「音の感じ方」の違いを感じています。前者は「本番である」ということを差し引いても躍り易いのです。
そこで、本プロジェクトは、クラブ特有の「肌で感じる重低音」に注目し、日頃の練習をより臨場感あるものへとするウエラブルなデバイスの作成を目標としました。
作成デバイスの概要
重低音を肌で感じるべく、Tシャツに振動アクチュエーターを縫い付け、腰元の小型アンプへ繋いだものを作成しました。振動アクチュエーターは、胸4個、背中2個、片腕1つずつの計8個で、各々の端子の先端はアタッチメントにより、小型アンプから脱着可能です。
小型アンプで重低音以外の周波数の音をカットすることにより、振動アクチュエーターからの音漏れを最小限に抑えています。音源の入力はBluetooth接続で行い、普段使用するワイヤレスイヤホンなどと接続可能です。
こだわったところ
本デバイスは、その出発点から全て「生のダンサーの声」を反映しています。私自身の経験だけでなく、日本そして世界中のダンサーの協力のもと、クラブ体験のエッセンスの抽出作業から、実装に至るまで沢山のダンサーの要望を取り入れました。完成したデバイスのプロトタイプはダンサーから非常に好評です。
題点
現段階でのプロトタイプでは、以下のような課題があります
- デザインの向上の余地あり
- アンプ駆動のためのバッテリーが重い
- アクチュエーターは縫い付けてあるので洗濯できない
- あまりにも静かなので側から見て駆動していることに気づかない
いずれも、実際に使用(・販売)する際にはネックとなり、改善が必要です。
今後の予定
本デバイスはクラブ体験を「リモート」にするポテンシャルがあり、多くのダンサーから更なる改善、そして実装を待ち望まれています。私の研究活動と並行してこのデバイスの発展ができればと考えています。
謝辞
本デバイスはIoTメディアラボラトリーの石山隼行先生、山岡成光先生、萩尾正巳先生の全面協力のもとに開発を進める事が出来ました。ここに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。