スマート傘(伊藤汐音)

スマート傘

機械工学科3年 伊藤汐音

1. これを作るに至る経緯

今回私は傘にGPS機能をつけて位置情報をスマホで確認できるものを作ってみたいと漠然に思っていました。理由としては私自身結構頻繁に傘をなくしていたためです。振り返ってみると、傘をなくしたその日の中で天気がよく変わっているということに気づきました。朝雨が降っていたから傘を持ってきていたのに午後は雨が上がってすっかり傘の存在を忘れてしまうという感じです。そこで午前中晴れていても午後に雨が降っていて不便だなと感じることが頻繁にあったこともあり、追加機能で自分がいる周辺の天気予想もできるとよいなと思い、傘から天気情報を受け取るということを思いつきました。個人で製作する分にはサンプル数が少ないですが、とりあえずできるということは確認しておきたいなと思いこのまま製作を開始しました。

2. 仕組み

仕組みとしては上図のようにWioLTEとGPSセンサ、磁石スイッチを連動させて、位置情報とスイッチの入力情報をSORACOMを通じて送信し、Azureでデータを処理後、GoogleMapsで情報を読み取り表示させるというものです。

WioLTEについては傘に取り付けるということから、Raspberrypiに通信モジュールを取り付けるよりも安く、本体サイズも小さいということから採用しました。また磁石スイッチについては傘が閉じている時にON、開いている時にOFFとなるように設計し傘に搭載しました。そしてGoogleMapsに位置情報と傘の状態をプロットしたのが以下の図です。緑のマーカーの部分が傘が開いている状態で、雨が降っていると認識されている箇所になります。

3. 実際の作業について苦労したところ

(1)デバイスの設計

大前提として傘につけるデバイスということである程度小さくする必要がありましたが、元のデバイスのサイズから使いやすいものとは言い難いものを作成してしまい、実用性には程遠いものとなってしまいました。また、サイズに関係なく傘に取り付けるにしても、一番取り付けやすい傘の柄の部分は基本的に曲面であるため、非常に設計難易度が高く、結局今回はプログラムのコードに時間を割く必要があったため、安易な箱型のデバイスとなってしまいました。割とここの部分の後悔が演習終了後大きかったです。この演習に参加する方は0から設計するものの方が全体的な完成度は高くなるかなと思います。

(2)プログラムやソフトウェアの実装について

今回の演習で一番苦労したのがこの分野です。プログラムについては何ができて何ができないかということもわからない状態で参加したため、まず何が何を表しているかというところから勉強を始めました。一番の失敗としてはプログラムのコードに時間をかけ過ぎたせいで、他のサービスに手を出すのが遅れ、通信やデータの保存周りであまりうまくいかなかったことですね。結局同じことをやっていた友人の力を借りて実装まではこぎつけましたが、自分一人でできたわけではないので、もう少しよい時間の振り分け方があったのではないかと思います。個人でできるコードの勉強よりも、人に聞いた方が早く解決できるサービスの理解を重要視するべきでした。

4. 全体の感想

今回の演習を通じて理解したことはあらゆるIoTサービスは整備されていて、それをいかに活用するかということが大事であると感じました。そしてその活用の仕方については人に相談してうまく問題を解決すべきで、開発業務には非常に会話や交渉が大事であるとも感じました。個人の知識と技術は限られているため他の人が持っている知識を利用し、自分の成長の糧とすることが大切なのだと改めて思わされました。今回は比較的開発の部分でうまくいかなかったと感じていますが、その原因を振り返り、自分で何かを製作する際に活かしていきたいと思います。
最後に、非常に素晴らしい環境を提供していただいた先生方及び関係者様方に感謝申し上げます。ありがとうございました。