お天気洗濯機(打田 圭吾)

お天気洗濯機

機械工学科3年 打田 圭吾

1.作成に至るまでの経緯

一人暮らしをしている人にとって朝に洗濯をするには、洗濯機を回してから干すまでの時間を確保するために、早起きをしなければならない。自分自身、一人暮らしをしていて朝もあまり強い方ではないため、洗濯機を回す時間を確保するために早起きするのは面倒であった。そういった生活をしている中で、洗濯物が溜まっている状態で家を出てしまい、後になって天気予報を確認すると、雨が連続していて洗濯のタイミングを逃してしまうということが何度かあった。天気のいい日の起床時間に、洗濯機が回り終わってくれていたらいいなという思いから、洗濯日の決定と洗濯の実行を自動で行う一人暮らし向けデバイスを考案した。

 

2.システムの概要

天気予報を取得し、洗濯適正日を決定。

洗濯適正日の起床時刻の30 〜40分前に朝に洗濯機を回す。

洗濯が終了したらLINEで通知。

 

3.デバイスの要求機能と実現

【要求機能】

①洗濯物の量を検出する。

②洗剤を投与する。

③洗濯機の蓋を閉じる。

④電源とスタートボタンを押す。

【実現方法】

①洗濯機の上に測距センサーを取り付け、洗濯槽の底面から洗濯物の最高点までの高さを検出し、底面積と掛け合わせることで洗濯物の体積を計算するように構築した。

②3Dプリンタで刷った洗剤タンクの下側を、先端がスプーン形状になっている棒で抑え、この棒をサーボモーターで制御する機構を作った。洗剤タンクの開蓋時間は、洗濯物の量に応じて決まるように設計した。

③サーボモーターに棒を取り付けて駆動領域を広げ、トルクを利用して蓋を押し込むことで閉じるような機構を作った。

④サーボモーターをスイッチの横に取り付け、トルクによってボタンを押し込むことで実現した。

4.全体の構造

マイコンは、Raspberry piを使用した。洗濯日決定は、htmlを使って気象庁の週間天気予報から決定しようと考えたが、時間の都合上htmlを学習する時間が確保できなかったため、pythonでjsonモジュールをインポートして、livedoor天気予報から3日間の天気データを取得することで実現させた。洗濯日決定のスクリプトは、cronを用いて洗濯が実行された次の日に自動で走らせるように設定した。

洗濯日の朝6:25に洗濯実行のスクリプトを実行し、IFTTTを使ってwebhooks経由で7:00にLINEに通知が来るようにした。

 

デモ動画

 

5.作ってみた感想

ハードウェアの設計に想像以上の時間を割かれたため、ソフトウェアの方が厳かになってしまったのは一番の反省点である。当初は、アラーム機能と連動させた環境構築を目指していたが、実現できなかったため中途半端なIoTデバイスに留まってしまった。ハードウェアの面でも、デバイスの要求機能を満たすことに集中していたため、スマートな形状にすることができなかった。

一方で、演習を通して貴重な経験もたくさんあった。当初は、アクチュエーターとしてサーボモーターを使用する予定はなかったが、ステッピングモーターやソレノイドなどで試作しても求めている動きを得られなかったため、試行錯誤の末に、サーボモーターに辿り着くことができた。また、DC5V、DC12V、DC24Vが混在した複雑な設計であったが、サーボモーターに統一したことでDC5Vのみにすることができた。この他にも、測距センサーやADコンバータなどは試行錯誤の繰り返しであった。こうした試行錯誤を乗り越え、要求機能が実現された時に感じた達成感は、素晴らしいものであった。さらに、IFTTT、3Dプリンターなども演習を通しての貴重な経験となった。

 

最後に、多くの質問や相談に丁寧に対応していただいた、IoTメディアラボの皆様・演習の履修者には、感謝の気持ちしかありません。